こんにちは!WBP Plus!の梅本です。
出来れば週に1回、WBP Plus!のその週の振り返りとして、なにか新規登録商品やそれについて考えていたことなどを共有できればと思います。
今日のタイトルは「買う人がいなければ立ち行かない」です。
輸入楽譜の老舗、アカデミア・ミュージックさんが破産開始決定との報が入りました。
WBP Plus!では当初からお世話になっていて、特にアカデミア・ミュージックさんのオリジナル楽譜や、他に仕入れる手がないような輸入楽譜を仕入れさせて頂いていました。
また、個人的には20代の頃から、他ではなかなか手に入らない、商品が見つからないような楽譜を一消費者として取り寄せていただいたりしていました。
まずはアカデミア・ミュージックの皆様に感謝申し上げたいと思います。
2020年に債務超過になったと報道されていますが、この年はコロナ禍の年でしたね。多くの音楽関係者の皆さんも苦労された年です。
特にサプライチェーンという国際的な流通網も大混乱をきたした頃でしたから、輸入も輸出も大変な時期だったかと思います。
演奏会が少なくなれば楽譜の流通も減りますし、楽譜販売業にとっても苦しい頃。
そして2022年にはロシアがウクライナに侵攻し、現在の円安(というか為替の不安定化というか経済の不安定かというか)の大元はこれがきっかけになっているらしく、輸入販売業にとっては2020年から今になってもまだ試練が続いているというわけです。今はロシアとウクライナに加えてアメリカが世界中を引っ掻き回している印象がありますけど。
Xなどで「輸入楽譜」と検索すると「高い」「高くなった」「買えない」というような投稿が見えたりします。高いですよね。売っているこちらから見ても高いと思います。
でも、どのお店も暴利を貪っているわけではなくて、それぞれの会社の利益率基準に合わせて値付けをしているだけだと思います。原材料の高騰やそれに伴う製造費の高騰で海外の出版社の元売価も上がり、送料も上がっていますから(送料は最近石油燃料関係でさらに不安定になっています)、それに円安をかけ合わせると、末端価格がとんでもないことになる。これが今輸入楽譜に起きていることです。
同じくXで今回のアカデミア・ミュージックさんの件を見てみると、「残念」「昔はお世話になった」というような声が聞かれます。少し前の実店舗閉鎖のタイミングでも同じような感じでした。「昔はお世話になった」という感じです。
「昔はお世話になった」それはそれで良いことです。その頃その人がたくさん楽譜を買ってくれなかったら、またはそういう人がたくさんいなかったら、今のような世情とは関係なくもっと前に潰れていたかもしれない。だからそれは良いことです。
問題は「現在どうか」ということで、「輸入楽譜は高いから買わない」「海外からPDFを直接買うようになった」そういう消費者が増えれば、当然輸入代行のお店は役割を失っていきます。
Google翻訳などの精度も上がっていますし、AIを活用する人もいるでしょう。
輸入代行という仕事自体に役割がなくなるとすれば、それは消費者側の選択ですから、致し方ないところがあります。WBP Plus!も例外ではなく、役目を終えるでしょう。
ただ、もし「この店のコンセプトが好きだから残っていて欲しい」「このお店は相談に乗ってくれるから残っていて欲しい」などと思うお店があるのであれば、なるべくそのお店で買い続けること。自分が演奏から遠ざかって楽譜を買わなくなったのであれば、周りの演奏をしている友人にそのお店をおすすめすることです。
数人、または数十人が「買い支えるぞ」と思っても、規模が大きい会社ほど仕入額も尋常ではないので、ちょっとやそっとのコアなファンだけでは立ち行かなくなります。
これは輸入楽譜に限らず、自社商品を開発しているような会社でもおなじです。楽譜屋さんでもたこ焼き屋さんでも同じです。
とはいえ最近は「推し活もキツイよ」という風潮があります。物価高賃金安ですからね。
ほか最近ではクラシックのようなニッチな市場ではインディのCDレーベルがCDを作らなくなってきましたよね。配信だけとか。CD-Rの受注生産とか。それも大きく見れば消費者側の選択の結果です。
かかる経費に対して売上が少なければ赤字なわけですから、潰れるか、業態を変えるか、どちらかです。
そういった変化について「企業努力が足らなかったんじゃないの」と外から攻撃するのは簡単です。ドローンを操縦して爆撃するより簡単に関係者の心を破壊できます。
でも世の中の人っていうのは自分(僕やあなた)が思うほど馬鹿ではないので、それぞれにその時の最善を尽くしているはずなんです。皆さんもそうではないでしょうか?
出来る限りのことはやった、でもダメだった。外部要因や運などの要素も絡んできますから、「努力不足」の一言で片付けられるようなことではないし、ましてや外野が経営について知ったかぶりをするものでもないと思います。
今回の場合、コロナ禍で弱っていたところにロシアのウクライナ侵攻、それにともなう終わりの見えない円安、と輸入楽譜のお店には不利な条件が揃いまくってしまいました。
僕はアカデミア・ミュージックの皆さんが努力をしなかったとは思いません。出来ることにも限りがある中で最善を尽くされたのだと信じています。そう思わせてくれるような誠意のある真面目なスタッフさんがいた会社でした。
日本における中小企業の割合は、全企業数の99.7%なんだそうです。ほとんどの会社が中小企業です。さらにその中のほとんどが従業員数の少ない「小規模事業者」なんだそうです。その中小企業は、物価の上昇に対して賃金の上昇が追いついていないという話なので、ほとんどの会社員にとっては、特に楽譜という趣味のものに関しては、買い支えるのも難しい。
もともと楽器には高い高いと言いながらもお金をかける人が多い印象ですが、楽譜は「できればタダで」という文化があるように思いますから、なおさら楽譜は売れにくいのが現状です。
楽譜出版社によっては、まったく違う業務を新しく始めたり拡張したりして収入源を確保しようとする動きもあります。規模が大きい会社ほど、そういうことをしないと楽譜事業を維持できないんだと思います。WBP Plus!に関して言えば、支出のほうが多かった楽天市場店を畳みました。
何かと便利な時代になりましたが、本当にそれは便利と呼べる便利なのか。
相談に乗ってくれていたお店がなくなり、まだ知らない優れた作品や作家さんを紹介してくれていたお店がなくなり、代わりにAIを使うにしても、AIには感情もなく、ネット上にない情報は拾えません。
便利に振り回されて不便になっていないか?そんなことを考えた今週の出来事でした。
それではまた来週!
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